逢魔時

最近、立て続けに夫が同僚の代わりに夜勤に入ってる。

この日はアタシも休みだったけど

夫も休みの予定だったから

彼にアタシが休みだった事すら伝えて無かったのです。

前日、彼は上手く行ってない仕事の件で夕方から遠方へ。


「この打ち合わせの後、行って来ます」

「今から行って来るよ」

「もうすぐ着きます」

「今、着いたよ」

「終わりました」

「今から出ます」


と怒涛の報告に嫁にはこんなに報告しないでしょ、と

ちょっと安心するアタシ。


アタシは仕事が終わって

「気を付けて帰って来てね」

「明日お休みなの」

「寂しいなぁ」とメッセしました。


彼は運転中にも関わらず

「逢えないの❓

逢いたいよ」と。


アタシ「まだわからなくて

♡♡君に聞けずにいたの」

彼「俺は逢いたい」

「わかったら教えて」


帰宅すると夫が翌日、夜勤だと伝えられて。

夫が寝静まった後にiPhoneを見たら

「早く逢いたいよ」

「今日は流石に疲れたよ💦」

「そろそろ寝るね」

「大好きだよ❤️」

「おやすみ😘」と彼から。

結局、起きてる彼に逢える事を伝えられませんでした。


翌朝。

彼「おはよう」

「今日逢える様ならまた教えてね❤️」

アタシ「今日はこの前みたいに

16時くらいから逢えるけど

ご都合いかがですか❓」




最近、夫が仕事中に逢うのが一番安心だと

夜勤前か、日中の勤務の日しか逢わない様にしてる。

近所だと子供達に見られると困るので

近くのショッピングモールを通過して

向かいのスーパーの駐車場で待ち合わせ。


夫の夜勤のお弁当を作り、見送って

大慌てでメイクして着替えて💦

今日も彼のお気に入りのグレーのワンピースに

黒のチェスターコートを羽織って、自転車で向かいました。


夜勤の時は16時〜18時までの僅かな時間。

自転車を漕ぎながら

「セックスする為にいそいそ出かけるアタシって

ホントに都合いい女だなぁ」

と思いました。


日中は温かかったのに、思いがけず冷たい風。

昼から夜になる僅かな時間に急激に冷える空気。

『逢魔時』と言う言葉が浮かびました。


「彼はどう思ってるんだろう」


不安が過りました。

魔物がアタシの心の隙間に潜り込んだみたいに。


待ち合わせ場所には

やっぱり彼が先に着いてました。

アタシを見ると蕩けそうな笑顔で

「今日も可愛い」と照れた様に言って手を繋いで。

「冷たい手だね」と指全体で撫でてくれる。


近くのホテルへ。

最近はここばかり。

綺麗だけど狭い。

アタシの気持ちが伝わったのか

「もっと広い大きな部屋で逢いたいね」と彼。


アタシをギュッと抱き締めて

首筋に唇を這わせて「逢いたかったー」と

深呼吸する彼。


そして、ソネミさんに見て欲しいと

バッグから出して来たゴルフ用のミニマフラー。

とても良い色でアタシの好きなブランドのロゴの

色が効いてて。

「ソネミさんとキャッキャしながら選びたかった」と

言う彼に

「アタシもきっとそれを選ぶと思うわ」と言うと

子供みたいにはしゃいで鏡を見に行った彼。


そして、代わる代わるシャワーを浴びて

「今度広いバスルームで一緒に入りたい」と彼。


この前は仕事のダメージで元気が無かった彼。

もしかしてEDになってたりして…

と懸念してましたが(笑)

全く心配無く💦

この前の分まで興奮してるみたいで

「欲しかった。すごく欲しかったよ」と飢えていて。

大き過ぎて痛かった💦


シャワーの後のキスタイム。

キスしながらお話して。


彼の仲良しの高級ホテルの総支配人が

ディナーショーに来てくれた某有名歌手の話を

面白おかしくお話ししてくれたらしく…


そこから子供の頃、苦手だったのに

大人になったら好きになった芸能人の話して(笑)

「大竹まこととか、泉谷しげるとか苦手だったわ」

「わかるー」

「関根勤とルー大柴とかもくどくてダメだった」

「なのに、今は好きだなぁ」

「わかるー」

「ガサツで下品な人が苦手だから

阿佐谷姉妹は好きだけど、どぶろっくは無理ー」

「もうYOSHIKIは吉永小百合と、同じ括りじゃない❓」

上品なYOSHIKIファンのアタシ達(笑)

なんで、こんなに価値観一緒なのー❓

って鼻と鼻をくっつけてクスクス笑って。


そして、夜はまた

某協会の飲み会の彼。

ホント、笑っちゃうくらい飲み会多いわー💦




そして…

アタシには辛いお知らせが(;ω;)


今度のクリスマスデートが彼の仕事で

長時間は逢えないかもしれない事。

複数人の多忙な人達が関わる取引だから

暮れまでの平日に調整しなくてはならない事を

説明してくれました。

以前のアタシだったら、拗ねて泣いていたかも知れません。


悲しくならなかったのは

とても彼が悲しそうだったから。


そして「セックスするだけの都合いい女なのかも」

と常に頭にある疑問。




それが払拭されたのは彼の一言。


彼の腕の中にいる時に突然

「今、すごく嬉しい」とニッコリ微笑む彼。


アタシ「どうしたの❓」

彼「ソネミさんが俺の胸に手を置いてくれてるから」

「それが嬉しいの」



四年も一緒にいて

一昨日も抱き合ったばかりなのに。

そんな事で「嬉しい」と言ってくれるの❓

なんだか心が熱くなって、涙が出そうでした。



「ゆっくりデートしたい」

「ドライブしたいよ。

ソネミさんが腕にくっついてくれるの

めちゃくちゃ嬉しいんだ」

「ランチもしたいね。

一緒にお肉食べたいなぁ」



最近、アタシの危機管理の都合で2時間くらいのデートばっかり。

それをアタシは彼にとっても

「身体だけの都合いい女」との逢い方だと思ってた。


彼はクリスマスデートもすごく楽しみにしてくれてた。

「仕事で押してもイルミネーションだけは

観に行きたい」

「ソネミさんと沢山お話ししたいよ」

「こんなに合う人いない」


アタシの手を取り

自分の顔に触れさせて

「好きだよ」

「大好きだ」

とアタシの手に自分の手を重ねて、ウットリと目を瞑る彼。





「身体だけなんだろうか❓」

「騙されてるんだろうか❓」





アタシはバカだから

結局はわかりませんでした。




ホテルを出たら真っ暗な闇に包まれていました。

逢魔時の魔物が見せた不安。

それはきっとアタシの罪悪感。

アタシを疑って病んでる夫が見せたのかも知れません。